FFPは死んだのか?
今回のマンチェスター・シティへの判決を受けて、「FFPは死んだ」というような意見も出てきてます。
要するにシティが罰せられないのならFFPのルールは形骸化しており、従うほうがバカを見るというような趣旨でしょうね。
個人的にはFFPみたいなバカげたルールは死んでほしいですけど、実際そうは思いません。
■今回のマンチェスター・シティに対する最終的な罰金は、資金の流れについてのものではない
これ大事なところなんですけど、最終的にマンチェスター・シティに課された1000万ユーロの罰金は、調査に非協力的であったという点についてです。
資金の流れに関する罰金が軽減されたわけではありません。
(FFPの規定の56条による。これは僕は原文を読みましたが、資料の提出協力などについての条文でした)
「資金の流れに違反が認められ3000万ユーロ+2期出場停止が課されるべきところを何故か軽減された」ということであれば、それはFFPが死んだと言えるでしょうが、そうではないんですね。
要するに今回の判決は、資金の流れについては罰則なしです。
■資金の流れについての違反は引き続き監視される
そんなわけなので、あたりまえのことですが、CASが「資金調達でズルしてもOK」なんて言ったわけでは全くありません。
マンチェスター・シティの主張は一貫して「FFPのルールを遵守していた」というものです。
会計の知識は僕にはないので細かいことはわかりませんが、少なくともCASは「違反があったと断定できない」という結論を下したということです。
個人的な意見として、こういうときに世間が自由に意見を言うことは構わないと思いますが、会計や法律の専門家が一般の人が見られない資料なども踏まえて判断しているという点で、外野のヤジのほうに真理があるとは思えないですね。
シティが買収したんだとか陰謀説みたいなことを言う人もいますけど、なにかにつけ陰謀説を唱える人はいつも一定数いて、僕はそういう人とは距離を置くことにしているので。。
■そもそもFFPに問題があるのでは?
マンチェスター・シティは以前にFFPで罰則を受けたことがあるのですよね。
2014年だったと思いますが、罰金とCLの登録人数の制限が課されました。
このときはパリ・サンジェルマンなんかも一緒に喰らいましたね。
当時もシティの主張は「ルールは守っている」でしたが、どちらかというと早期に話を終わらせるために罰金を払うことで話をおさめたという感じで決着しています。
FFPについては結構不満がいろいろなところから出ていて、結局新興のクラブに厳しいというのが問題になっています。
急激に成長できないような制限をして、既存のヒエラルキーを維持する方向に働いているのですね。
これが「フェア」という語を冠したルールといえるのだろうか、とすら思います。
今回の結論でFFPは死んでいません。
どちらかというと、「残念なことに」生き残りました。
UEFAの声明でも、FFPによって欧州のサッカークラブの状況は好転した、というような事を言っています。
ただし、FFPについて考え直すきっかけにはなったのではないかと感じます。
このルール、撤廃とまでは行かなくても、これでいいのかもう一度考えてみる必要があるのではないかなと思います。