トッテナム戦、ウォーカーのはハンド?

2019/4/20のプレミアリーグ、マンチェスターシティ対トッテナムで、カイル・ウォーカーのプレーがハンドじゃないか?といわれるシーンがありました。

クロスをアリがヘディングで折り返そうとしたボールが、アリと並走していたウォーカーの左手にあたりゴールラインを割ったというシーン。
主審のマイケル・オリバーの判定はコーナーキックでした。

「VARがあればハンドだったんじゃないか」という声も聞こえてきますけど、ありゃハンドじゃないですね。
(プレミアリーグにはまだVARは導入されていません)

■VARは新しいファウルを生み出すものではない

VARは人間の目では見逃してしまうような事象を減らすため、テクノロジーの力も借りてレビューする仕組みです。
ここで大事なことは、元々ファウルではないものがファウルになるわけではない、ということ。
あくまで、見過ごしていたファウルをきちんと判定する、というのがVARの存在意義です。

その意味で、「VARがあればハンドだった」という言い方自体がおかしいです。
「VARがあれば主審が見逃していたハンドがとられた」というほうが正しいでしょう。
言葉尻をとらえた屁理屈のようにも聞こえそうですが、競技規則はある意味試合を支配する法律のようなものですので、正確な表現は大事です。

■ハンドかどうかを判定するには

現在の競技規則では、ハンドリングは意図的にボールを扱うことを指します。
その際に、腕の動きが自然か不自然か、ボールが腕に向かっているのか腕がボールに向かっているのか、ボールのスピードや距離はどうか(意図的に手を出す時間があるか否か)などという点を考慮するよう、審判のガイドラインには示されています。

そのうえでアリとウォーカーのシーンを見てみると、まず、ウォーカーは自然に走っており、腕は走る際に必要な範囲を超えて動いているようには見えません。
さらにアリとウォーカーの距離は非常に近く、ヘディングで折り返されたボールも直線的に腕に当たっており、一瞬の出来事で避けようがありません。

これが、ウォーカーが腕を不自然な位置に広げて体を大きく見せているとか、ヘディングのボールが弓なりでかつ距離も少し離れており、避けられる時間があるようなケースならハンドになります。
しかし、前述の理由から、これはハンドではないと思います。

マイケル・オリバーもそれほど離れていない位置で見ていたようですし、アリの抗議に対して明らかに違うという自信を持った説明をしているように見えます。

■ディフェンダーは腕を後ろに組まなくてはいけないのか

テレビでよく見ると思うのですが、ディフェンダーはハンドを避けるため、腕を後ろに回すことがあります。
紛らわしいハンドを取られないための工夫ですね。

しかし、次のルール改正に向けてのIFABの話の中で、「ディフェンダーは腕を自然におろすことを認められるべきだ」という発言からもわかる通り、これは競技規則の意図したところではありません。
もちろん「後ろに回すべき」などという記述は現在の競技規則にもありませんし、自然な位置にある分にはOKということになっています。

■知らないことを語らない方が良い

1つ、毎回言いたくなることとしては、解説者は知らないことを語らない方が良いということ。
解説者はおおきく、元選手とサッカーライターの2種類の方がいらっしゃると思います。
そして僕が聞いている限り、ほぼ100%、競技規則に関しての知識は、そのへんの4級審判員よりも劣ります。
なのに、VARが話題になっているもので、どうしてもこういうことが起こると一言いいたくなってしまうんでしょうね。

サッカーのプレーの技術に関する専門家なのですから、その辺の話をすればいいのであって、競技規則に詳しくないのに語らない方が良いんです。
もしくは語りたいならもっと勉強してください、と言いたい。
一般の視聴者が誤解して覚えてしまうので、発言の影響力というものも考えてほしいですね。

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