デブライネのクイックリスタートはなぜ認められなかったのか?

プレミアリーグ ニューカッスル対マンチェスターシティで、マンチェスターシティが得たフリーキックをデブライネがクイックリスタートした際、やり直しが命じられ、さらにイエローカードを提示されるということがありました。

ペップの試合後のコメントによると

おそらく主審は、自分が許可するまで(笛を吹くまで)蹴るなといったんだろう。分からないけど。

ということで。
映像を見ても、主審はデブライネから離れる前に笛を見せて話しかけていますので、口頭で笛を吹くまで蹴るなと伝えたと思われます。

で、それを無視して蹴ったということでやり直しになるのは分かるのですが、イエローカードは何だろうか、と。
フリーキックの進行上で競技規則に記載されている罰則には、主審の許可なくけったから警告というようなものはありません。

そもそも笛を吹くまで再開させない場合というのは、審判が守備側選手の距離を調整(いわゆる壁の調整)を行うような場合になり、ゴールから遠く壁を作らないような場合は通常、笛を使わないで再開します。

今回はそれなりにゴールに近かったため、主審は壁の調整をする必要があるとあらかじめ判断してデブライネに声をかけたようです。
実際には壁は作られていませんが。

さて話を警告に戻します。
主審の笛を待たなかったとしてもそのこと自体で警告というのはおかしいと思うので、僕として考えられる理由は2つ。
競技規則の条文のうち、下記のいずれかと推測します。

・ プレーの再開を遅らせる。
・言葉または行動により異議を示す

「再開を遅らせる」についてですが、わざと蹴り直しになるような行為を行って時間稼ぎをするというケースはこれで警告されます。
ただ、このシーンは積極的に点を狙いにいっており、リードしているから時間稼ぎをするような行為ではないのであたらないでしょ。

で、僕の想像では、デブライネが主審に何か、言っちゃいけないような言葉を言ったのではないかなと思っています。
そうでなければあんなにスッとカード出てこないかなと。

この辺は当事者でないと分かりませんが、ここでイエローをもらったことでデブライネは2枚での退場を避けるため後半に交代することになってしまいましたし、試合全体の流れに結構影響する大きな出来事となってしまいました。

もったいなかったですね。


■■===補足(というか蛇足)
フリーキックのリスタートというのは、基本的には審判は笛を吹く必要がないものです。
これは競技規則の冊子の巻末にあるガイドラインに書かれています。

次の場合、笛を吹く必要はない:

次の理由でプレーを停止するとき
・ゴールキック、コーナーキック、スローイン、得点 
次の場合にプレーを再開するとき
・ほとんどのフリーキック、ゴールキック、コーナーキック、スローイン、ドロップ
ボール

不必要な笛を多く吹きすぎると、本当に必要な場合に効果が薄れることになる。
まぁ要するに審判は「無駄に吹くなよ」と言われているわけですね。
で、逆に吹く場合はこんな感じ。

次の場合には、笛を吹くことが必要である。

試合の前半、後半(延長戦の前半、後半)の、または得点後のキックオフのとき
次の理由でプレーを停止するとき:
・フリーキックまたはペナルティーキック
・試合の一時的な中断、または中止
・前半、後半の終了時
次の場合にプレーを再開するとき:
・規定の距離を下げたときのフリーキック
・ペナルティーキック
次の理由でプレーが停止された後にプレーを再開するとき:
・警告や退場
・負傷者の発生
・交代
なので、今回は、「既定の距離を下げたとき」にあたります。
実際には下げようとする前に、キックを行うチームの選手に、笛を吹くまで蹴らないよう伝えます。
そうしないと守備側の選手と審判が距離を調整している間に蹴られたらめんどくさいので。
まぁ、その場合は今回のようにやり直せばいいのですけど、事前の声掛けで防げるものは防いでおきたいですからね。

ちょっと話が変わりますが、2018年のJリーグで札幌対神戸戦において、壁形成中に札幌の福森がクイックリスタートから直接得点し、その得点が認められたことがありました。
これ、審判のマネジメントに問題があったと思いますけど、この一件以来、少年サッカーでもルールを誤解する人がいて困るわけです。

一部、「フリーキックの時、笛を待ってリスタートさせる場合は、そのことを告げるために笛を一度吹かなくてはならない」と理解している人がいるのですね。
これ、残念なことに審判の有資格者でもそういう人がいます。
僕が審判をやっていた時に、攻撃側チームに「笛でリスタートするよ」と口頭で伝えて壁を下げているとき、ベンチから「笛なってないから蹴っちゃっていいんだぞ!」と言われたこともあります。

上記のガイドラインを見れば明らかなとおり、「既定の距離を下げたとき」は「笛を吹くことが必要」であるのであって、それを告げるために笛を吹くという規則はありません。

だいぶ蛇足が長くなってしまいましたが、主審は選手ときちんとコミュニケーションをとることが大事だよということですね。

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